カラチで洗礼



1991年当時、旅行会社に提示されたケニア最安値旅のフライトは、下記の3社だった。


・アエロフロートでモスクワ経由

・パキスタン航空でカラチ経由

・エア・インディアで(確か)ボンベイ経由


究極の選択だ。

まず、数々の伝説を持っているアエロフロートは論外。

南半球周りで、往復共に1日近いトランジットがある2社で悩む。

旅行会社のお姉さん曰く

「パキスタン航空は遅延が多くて、エア・インディアの方が遅延は少ないけど、

トランジットで空港から街中に観光に行く場合、途中の道には死体がゴロゴロあります」。

はい! 消去法でパキスタン航空に決定。

しかし神のお導きは、茨の道であった。

そもそも旅行会社のしおりにも航空チケットにも、書いてあったのは「成田ーカラチ」のみ。

途中、バンコクとマニラに寄るなんて聞いてないよー。

機内食食べすぎて、もはや何ご飯か分からないよー。

膨満感になりながらカラチに到着すると、そのままパキスタン航空が用意したトランジット用のホテルへ移動。すると、いきなり部屋をコン!コン!とノックする人が。

何事かと開けたら、男2人が「チップ!チップ!」と手を出してきた。

誰やねん?と素朴な疑問を感じた私は「WHY?」と質問。男たちはそそくさと立ち去った。

詐欺だった。

日本人はワケも分からずチップを払うから、悪い輩のいいカモになっているらしい。

ふふっ。上手く撃退したぜ。

トランジットは丸一日あったので、同じフライトの日本人グループでホテルおすすめの市内観光に行くことにした。

コースは、

パキスタンの創立者ムハンマド・アリー・ジンナーが眠るジンナー廟→港で蟹釣り→クリフトンビーチ→絨毯店→ザイナブマーケット

まさかのアラビア海で蟹釣りだ。

道中、川沿いに物干がずらっと並んだ洗濯屋さんを眺めながら、ウキウキで参加したのだった。



ところが、海面は濁っていてゴミが浮いている。糸を垂らしても、釣れるのはビニールとか長靴とかの、漫画でよく見る世界。約30分ぐらい挑戦したが、参加者誰もヒットなし。

するとスタッフが言った。

「皆さん残念でした。でもここに、すでに調理した蟹料理があります。100ルピー払えば、食べられます」。

やれらた!

日本円にしたら100円以下の料金だけど。でもお腹が空いていたから、皆で食べましたよ。



続いて向かったザイナブマーケットでは、民族衣装店のおじさんに強引に店舗に連れて行かれそうになり、慌ててツアーガイドが助けに来てくれる一幕もあった。




海外旅行初心者には強烈だよ、カラチ。

油断も隙もあったもんじゃない。

でも当時のアルバムを見返したら、私なんだかんだと観光を楽しんでいた様子。

その証拠にホラ!


カラチのイケメン発見!

しっかり写真を撮っていたのだった。








中山治美の”世界中でかき捨てた恥を回収す”

映画ジャーナリストの中山治美です。 1991年に初の海外旅行でケニアを旅して以来、仕事やプライベートで随分とあちこち旅してきました。 でも齢50歳を超えて体力的に限界が……。 そろそろ終活⁉︎と思い、 記録に残すことにしました。 2024年4月からは下記で更新。 https://ameblo.jp/haruminakayama-555/

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