日本映画初!第60回金馬奨の最優秀作品賞に『石門』
大塚さんは、廖慶松(リャオ・チンソン)さんと共に『石門』で最優秀編集賞も受賞しました。こちらも同部門で日本人が受賞するのは初めて。廖さんは、侯孝賢、楊德昌監督作などを手がけてきた台湾映画界のレジェンドなので、スタンディング・オベーションが起こったのは感動的でした。そして、大塚さんも感涙し、こちらももらい泣き。
以前にもブログで書きましたが、台中関係に亀裂が入り、中国映画は2019年から金馬奨をボイコットしています。中国出身のホアン・ジー監督による全編中国ロケ映画がノミネートされたのは、製作会社が日本だから、、、という変化球だったワケですが、この賞は、金馬奨は変わらず中国のことも注視してますよ!のメッセージでもあり、アジアがどんどんボーダレスになっている時代の象徴でもあり、何より、自由に映画を製作するのが厳しくなっている中国で、インディペンデントで活動し続けているホアン・ジーと大塚さんへの最大級のエールでしょう。
最優秀作品賞のプレゼンターが審査委員長のアン・リー監督と、映画祭主席で侯孝賢監督作の撮影でお馴染みの李屏賓さんというのも激アツでした。重鎮2人からトロフィーを受け取るなんて、賞の重みが増します。
その他、受賞結果はこちら。
最優秀長編ドキュメンタリー賞を、11月26日まで開催している東京フィルメックスでコンペティション部門の審査員を務めている王兵監督の『青春』が受賞というのも感慨深いものがあります。
中国出身の王兵監督は中国の暗部にカメラを向けていることから、製作国はいつも他国。『青春』も
フランス・ルクセンブルク・オランダの製作です。王兵監督は金馬奨には出席せず、東京フィルメックスを優先しました。
またメモリアルで、坂本龍一さんと英国俳優ジュリアン・サンズさんも追悼されていたことに涙腺が緩みました。坂本さんは清朝最後の皇帝溥儀の人生を描いた『ラスト・エンペラー』(1987)やツァイ・ミンリャン監督『あなたの顔』(2018)の音楽を手掛け、ジュリアンさんはジャッキ・チェン主演『メダリオン』(2003)やトム・リン監督『夕霧花園』(2019)に出演していました。
いやぁ、それにしても、今年も授賞式は長丁場でしたね。
約5時間!
終了した時は日付が変わってましたよ。YouTubeの生配信を鑑賞していた皆様、お疲れ様でした。
なんで長いかというと、日本アカデミー賞のように技術賞の受賞者をダイジェストでまとめ、「受賞したのはこの方たちです」と名前すら読み上げないのではなく、俳優部門の賞と同等に放送。
また米国のアカデミー賞のように放送時間が決まっているからと受賞者のコメントに制限時間を設けたり、急かすようなことをせず、きちんと放送するから。
メモリアルで坂本さんやジュリアンさんを取り上げ、プレゼンターに日本から北野武監督、役所広司さん、妻夫木聡さん、満島ひかりさんが参加したように、全体を通して同じ映画界の仲間なんだというリスペクトに溢れているんですよね。
歴代の金馬奨受賞作にオマージュを捧げたオープニング映像も素晴らしいものでした。
最優秀主演女優賞を、歴代受賞者みんなで発表する様子もアットホームでよかったな。
ただこれが、どれだけ日本で報道されるのかな?
願わくば、この賞の価値をきちんと理解した上で伝えてくれることを期待します。
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