まもなく発表! 中華圏のアカデミー賞こと第60回金馬奨に注目

 ”中華圏のアカデミー賞”こと金馬奨の授賞式が、現地時間11月25日19時から台北國父紀念館で行われます。

 今年の注目は、なんといっても作品賞・監督賞・脚本賞・編集賞の4部門でノミネートされた大塚竜治&ホアン・ジー監督『石門』(2022)。同作の製作は日本。監督賞に日本人がノミネートされるのは初めてで、おそらく日本映画が作品賞候補になるのも初めてかと(*金馬奨広報もここは確認出来ずとのこと)。

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 それだけでなく、台中関係が微妙になった2019年以降、中国映画は出品されていません。

その最中、中国出身監督の中国を舞台にした作品がノミネートされていることに意義深さを感じます。

 そんな2人の作品がなかなか日本で劇場公開に至らないのが残念ですが、国際的な評価は高し。ホアンが監督、大塚氏が撮影を手がけた短編『THE WARMTH OF ORANGE PEEL 』(2009)がベルリン国際映画祭ジェネレーション部門に選出されたのを皮切りに、世界中を旅してきました。

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 2人の制作スタイルは、ホアン監督の実体験を物語のベースにしながら、現地に長期間滞在し、親族から住民まで巻き込んでリアルな中国の今を描くというもの。女性の性をテーマにした『卵と石』(2012)、『ザ・フーリッシュ・バード(英題) / The Foolish Bird』(2017)、『石門』の3部作はいずれも主演がヤオ・ホングイ。

 リチャード・リンクレーター監督が、一人の少年の成長を12年かけて撮影した映画『6才のボクが、大人になるまで。』(2014)が話題となりましたが、それに匹敵するような粘り強さとチャレンジ精神溢れる映画作りを行なっています。

 2人の作品は、ノミネート作品の中では異色のインディペンデントですが、恐らくそうしたオリジナルの視点と制作体制も評価の対象になったのでしょう。


 さて、2人は今回、企画マーケット(The Golden Horse Film Project Promotion)にも次回作の企画『A Woman Build』が選ばれて参加していました。


 なんとそこでもFPP Visionary Awardを受賞。企画開発費として、賞金12,000USドル(約180万円)が贈られました。

 こうして世界で活躍するインディペンデントの製作者たちは、さまざまな企画マーケットに参加して出資者を募りつつ、企画をブラッシュアップしていきます。

 金馬奨はもちろんですけど、2人のこれからの活動にぜひご注目を。

中山治美の”世界中でかき捨てた恥を回収す”

映画ジャーナリストの中山治美です。 1991年に初の海外旅行でケニアを旅して以来、仕事やプライベートで随分とあちこち旅してきました。 でも齢50歳を超えて体力的に限界が……。 そろそろ終活⁉︎と思い、 記録に残すことにしました。 2024年4月からは下記で更新。 https://ameblo.jp/haruminakayama-555/

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