山形国際ドキュメンタリー映画祭2023⑥
YIDFFの名物に夜の社交場「香味庵クラブ」がありました。
映画祭会期中の夜9時〜夜中の2時まで、監督から観客、市民まで、誰もが入場可能な出会いの場。
会場が、老舗漬物店「丸八やたら漬」が土蔵をリノベーションしたお食事処「香味庵」だったことからこの名前に。
詳細な経緯は下記の記事を。
端的にいえば、飲食店が閉まって行き場をなくした映画難民たちを、山形市の皆さんが救済してくださったワケです。
映画祭で参加者同士が交流を深められる場の設置は、そこから思わぬコラボレーションや次なる展開が生まれることも多々で、本当に大切。
なのに開催中の東京国際映画祭はいまだにそれが出来ずにいるわけで、YIDFFがいかに映画祭の本質を理解して運営しているかが良くわかります。
そして市民の皆さんが、香味庵に入りきれず道路にまで溢れて夜中までワイワイガヤガヤ集っている私たちを温かく見守って下さったことに感謝してもしきれません。
ところが2020年5月31日に、「丸八やたら漬」が135年の歴史に幕を下ろすことになったのです。
⚫️山形国際ドキュメンタリー映画祭の「夜の社交場」が惜しまれつつ閉店
YIDFF参加者は皆、誰もが心配したはず。山形の夜を、路頭に迷うことになるのか?と。
しかし、さすがYIDFFであり、懐の深い山形の皆さんです。
山形七日町ワシントンホテル2階の日本料理店「地酒と和食 三十三間堂」を、「新・香味庵クラブ」として用意してくださいました。
入場料は、物価が容赦なく上昇している最中、据え置きの500円(1ドリンク+おつまみ付き)。店内には無料の芋煮サービスもあれば、ホテル1階のローソンで購入した商品は持ち込みOKという配慮も。ドキュメンタリー関係者の懐具合を考慮してのシステムに愛を感じます。
ただ営業は会期中の3日間で、時間も夜9時から12時までと以前より短縮されました。それでも10月6日の初日は402人の来場者があったとか。
えっとー、ここのキャパシティは約250人と聞いていたのですが。完全にあふれてますね(笑)
ちなみに丸八やたら漬の跡地には、15階建てのマンションが建ちました。
YIDFF後、胡瓜や大根、青唐辛子を細かく刻んだ漬物「オーからい」をお土産にし、実家の母に「やたら漬」や「虎の巻」を郵送するのが定番だったので、寂しくもあります。
でも香味庵の歴史と想い出は、YIDFF元理事で2022年に急逝した高橋卓也プロデューサーや山形出身の佐藤広一監督ら香味庵を愛する人たちによってドキュメンタリーとなりました。
また明治時代から使用されていた漬物樽は、山形県かみのやま温泉の「三木屋 参蒼来」で風呂桶として再利用されているそうです。
いつか会いに行きます。
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